
「手書きのチラシやSNS、色々試してはいるけれど、なかなか思うような成果に繋がらない…」 「高い広告費はかけられない。でも、もっと多くのお客様にお店の良さを知ってもらいたい…」
静岡県内で日々奮闘されている経営者の皆さん、こんなお悩みで頭を抱えていませんか?
先日、2025年9月18日に静清信用金庫様主催で開催され、多くの経営者様から「すぐに実践したいヒントが満載だった!」とのお声をいただいた人気のセミナー、「低コストでできる集客術 ~手書きチラシ、SNS、メルマガの活用~」。 今回は、残念ながらご参加いただけなかった皆様のために、その内容を特別にレポートします。
講師を務めたのは、自身も静岡市清水区でフランス料理店「ボン・マスダ」を経営しながら、静岡県よろず支援拠点のコーディネーターとしても活躍する増田郁理さんです。 多くの失敗と試行錯誤の中から見つけ出した、リアルで実践的なノウハウが満載のセミナーとなりました。
現代は、ただ良い商品・サービスを提供するだけではお客様に選ばれにくい時代です。しかし、広告費をかけなくても、知恵と工夫でお客様との「絆」を育み、着実に売上を伸ばすことは可能です。
この記事を最後までお読みいただくことで、あなたのお店や会社が明日からすぐ実践できる「低コスト集客の3つの鉄則」を具体的にお持ち帰りいただけます。
【鉄則1】チラシにメニューを載せるだけではNG!まずはお店の「想い」と「価値」を伝える

お客様は、そもそもあなたのお店の存在を知りません。そして、知ったとしても「自分に関係がある」と思わなければ、行動してくれません。
セミナー冒頭、増田コーディネーター(以下、増田CO)は自身の最大の失敗談を語ってくれました。それは「良いお店を開きさえすれば、お客様は自然とやって来る」という思い込みです。 知り合いが一人もいない土地で、商店街のはずれ、雑居ビルの2階という決して恵まれているとは言えない立地。 当然、待っているだけではお客様は来ません。
そこで増田COはチラシを作りましたが、これもまた失敗。 当時のチラシは、お店が書きたいこと、つまりランチメニューの名前と値段がただ羅列されているだけのものでした。 これでは、お客様の心には響きません。
失敗から学んだ増田COが改善したチラシには、お客様の心を動かす4つの要素が盛り込まれていました。
- ターゲットに響くキャッチコピー: 「お箸で気軽に食べれるフランス料理店」のように、お店の特徴がひと目でわかる言葉。
- 魅力的なビジュアル(アイキャッチ): 美味しそうな料理の写真で、視覚に訴えかける。
- ターゲットの利益になる情報: 「初めての方にもお越しいただきたいため、材料費だけの料金にしました」といった、お客様にとってのお得感や参加するメリットを明確に伝える。
- 電話したくなる仕掛け: 「1回につき限定9名様」など、限定性を出すことで「今すぐ行動しなくては」という気持ちを後押しする。
だからこそ、単なる商品説明ではなく、ターゲットの心に響く言葉で「あなたのお店が提供できる価値(ベネフィット)」を伝え、存在を知ってもらうことが、集客の絶対的な第一歩なのです。
【鉄則2】売りっぱなしはもったいない!「お客様リスト」で信頼を育み、ファンを創造する

一度ご来店いただいたお客様とのご縁を、その場限りで終わらせてはいけません。お客様のリストこそが、あなたの会社の最強の資産になります。
「無計画にメルマガやSNSを配信しても、お客様には響きません」と増田COは言います。 かつて配信していたメルマガは、新メニューの紹介やイベントの告知のみ。これでは、お店の都合を発信しているだけで、お客様が「また行きたい」と思うきっかけにはなりにくいのです。 重要なのは、お客様のリスト(LINE公式アカウントやメルマガの連絡先)を集め、継続的にコミュニケーションをとることで信頼関係を築く「リストマーケティング」の考え方です。
増田COのお店では、このリストマーケティングを駆使して、
たった1本のLINE配信で、年末のおせちを300個も売り上げました。 その驚異的なLINE配信には、お客様の心を掴む仕掛けが満載でした。
- 圧倒的な特別感とお得感: 「会員様限定価格」はもちろん、「無料でワインを1本プレゼント」「次回来店時に使えるフォアグラサービス券」など、「やりすぎ」なくらいのプレゼントでお客様への感謝を伝える。
- シェフのこだわりと情熱: オマール海老の調理法やソースにかける時間など、料理に対するシェフの熱い想いを物語として伝えることで、商品の価値を高める。
- 希少性と緊急性: 「去年より70個減らして180個限定」「すでに71個予約が入っているので残り109個です」と具体的な数字を示すことで、今すぐ予約しないと損だという気持ちを喚起する。
このようなリスト(LINEの友だち)は、店内にQRコードを設置したり、タウン誌に特典付きで掲載したりと、地道な努力で集めてきた賜物です。
だからこそ、
お客様のリストを集め、「知りたい・行きたい・話したくなる」ような価値ある情報を定期的に届けることが、リピーターを増やし、経営を安定させるための鍵となるのです。
【鉄則3】SNSで商品を売るな!「あなたの人柄」を売って、唯一無二の存在になる

SNSは広告宣伝ツールではなく、お客様や地域との繋がりを深める「コミュニケーションツール」です。
「Instagramで一番反応が良い投稿は、実は料理の写真ではないんです」
増田COのこの言葉に、会場からは驚きの声が上がりました。ボン・マスダのInstagramで、投稿を見た人の数(リーチ数)が最も多かったのは、なんとシェフが人間ドックに行った時の投稿だったのです。
なぜ、プロの料理人が作る美しい料理写真よりも、プライベートな投稿が人の心を惹きつけるのでしょうか。それは、お客様が商品やサービスの機能的価値だけでなく、「誰から買うか」という情緒的価値を重視しているからです。
- 弱みや人間味を見せる: 「注射が苦手」「緊張する」といったシェフの人間味あふれる投稿は、親近感や共感を生みます。
- 社会や地域への貢献を発信する: 子ども食堂の開催や、災害時の支援活動(断水時の水提供)といった投稿は、お店の理念や社会との関わり方を示し、深い信頼へと繋がります。
- お客様との交流を大切にする: コメント欄での温かいやり取り一つひとつが、お店とお客様の絆を強くします。
増田COは言います。「オフラインを大切にするから、オンラインが活きる」と。 日々の地域活動やお客様一人ひとりとの誠実な向き合いがあるからこそ、SNSでの発信が血の通った、心に響くメッセージになるのです。
だからこそ、SNSでは完璧な商品写真ばかりを並べるのではなく、あなたのビジネスにかける想いやストーリー、そしてあなた自身の「人柄」を発信することが、熱烈なファンを創る一番の近道なのです。
まとめ
本日のセミナーの重要なポイントを振り返りましょう。
- 【鉄則1】まずはあなたのお店の「価値」を伝え、存在を知ってもらう。
- 【鉄則2】「お客様リスト」を育て、継続的なコミュニケーションで信頼を築く。
- 【鉄則3】SNSでは商品ではなく「人柄」を伝え、熱烈なファンを創る。
これら3つの原則は、すべて「お客様との信頼関係をいかに築くか」という一点に集約されます。最初から完璧を目指す必要はありません。まずは、今回ご紹介したポイントの中から一つでも、「これなら自社で試せそうだ」ということから始めてみませんか?
セミナーの最後に増田COが語った「オフラインを大切にするから、オンラインが活きる」という言葉は、すべてのビジネスに通じる本質ではないでしょうか。 お客様一人ひとりとの出会いを大切にすることが、結果としてオンラインでの発信力を高め、低コストでも力強い集客を実現するのです。
もし、あなたの会社ならではの課題について、より具体的なアドバイスが必要だと感じたら…。 静岡県よろず支援拠点では、専門のコーディネーターが無料であなたの経営相談に対応します。一人で悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。