
静岡商工会議所×静岡県よろず支援拠点 経営スキルアップミニ講座「センス不要!Canvaを活用した映えるInstagram投稿」|開催日:2026年7月8日
「Canvaを開いたものの、何をどう作ればいいのか分からず手が止まってしまう…」
「投稿は続けているのに、問い合わせにも売上にもつながらない…」
「結局、デザインのセンスがある人には敵わないのでは…」
静岡県内で日々奮闘されている経営者の皆さん、こんなお悩みはありませんか?
実は、伝わる投稿と伝わらない投稿を分けているのは、センスでも才能でもありません。「何を、どの順番で見せるかを決めているかどうか」です。2026年7月8日、静岡商工会議所で開催した経営スキルアップミニ講座「センス不要!Canvaを活用した映えるInstagram投稿」では、その決め方を、参加者ご自身の投稿をワークシートで点検しながら学んでいただきました。本記事では、そのエッセンスをご紹介します。
今回のセミナーについて
講師は、静岡県よろず支援拠点サブチーフコーディネーターの 光 俊輔(ひかる しゅんすけ) です。マーケティング・事業戦略・顧客管理を専門とし、多い年で年間400社ほどの中小企業・個人事業主のマーケティングと事業戦略を、経営者と一緒に考えて実行まで伴走してきました(詳しいプロフィールはこちら)。

タイトルには「Canva」とありますが、講座の中心は操作方法ではありません。冒頭で告げられたのは、こんな一言でした。
「今日のゴールは、Canvaを使えるようになることでも、きれいなデザインを作ることでもありません。自分の投稿を見て、どこを直せばいいか自分で気づけるようになる。これだけです」
Canvaの使い方そのものは、公式ブログもYouTubeもInstagramもあり、自分で触るのがいちばん早い。だからこの1時間は、その前に必要な「見る視点」に絞る──そんな60分となりました。
中身が同じでも、「見た目」で結果は変わる
講座は、2枚のInstagram投稿を並べるところから始まりました。どちらもラーメン店の投稿で、書いてある文字の中身はまったく同じです。
- 左(直す前):情報が全部同じ大きさで並んでいる。何が言いたいのか分からない
- 右(直した後):いちばん大事なことが大きく・太く。後から分かればいい情報は小さく
違うのは見た目だけ。それなのに、伝わり方はまるで別物です。
ここが肝心なところです。お客様は、良い商品かどうかを、見た目で決めてしまっています。中身が同じでも、パッと見て「おいしそう」「今の自分に良さそう」と思えるかどうかで、判断は分かれる。逆に言えば、左の投稿は「自分ごと」にしてもらえないまま、スーッと通り過ぎられてしまいます。
見た目は飾りではなく、中身を見てもらえるかどうかの“入り口”。入り口だけが大事だとは言いませんが、入り口はとてつもなく大事なのです。
なぜ見た目で差がつくのか──人は、情報を均等に見ていない
理由ははっきりしています。人は、情報を均等には見ていないからです。
Instagramの発見タブ(虫めがねのマーク)を開いたときを思い出してください。すみずみまで読んではいないはずです。目立つものから順に見て、その一瞬で「自分に関係ありそう/なさそう」を決めている。
ということは、こちらが「何を目立たせるか」を決めるだけで、伝わり方が変わるということです。
「全部知ってほしい」と思うと、つい全部を同じ大きさで並べてしまいます。そうではなく、目立たせたいものを決めて、大きくする・色をつける・周りを空ける・主役を真ん中に持ってくる。これはセンスの問題ではなく、理屈を知っているかどうかの問題です。
ナイキやコカ・コーラのようなブランドのデザインは、話が別です。けれど、静岡の地でローカルにビジネスをする私たちにとって、デザインは才能ではありません。何を、どの順番で見せるかを決める作業です。
そして、ここが順番として重要です。この設計をしないまま「Canvaでいいテンプレートはないかな」と探しても、意味がありません。 どんなに時間をかけても、伝わらないデザインになってしまいます。
お客さんが見ている「5箇所」──今日の地図
講座で配られたワークシートの1ページ目に、この日の“地図”が載っていました。この5つだけ覚えて帰れば十分、というものです。
| 見られる5箇所 | コツ | |
| ① | 大きい文字 | 商品名ではなく「お客さんに起きる変化」を、いちばん大きく |
| ② | 目立つ色 | 強い色は1つだけ。全部目立たせると、全部埋もれる |
| ③ | 主役の画像 | 主役は1つに絞る |
| ④ | 余白 | 大事なものほど、周りを空ける |
| ⑤ | 次の行動 | 見た人が次にすること、1つだけ置く |
ひとつずつ見ていきます。
① 大きい文字は「商品名」ではなく「お客さんに起きる変化」
いちばん大きい文字に、商品名を置いてしまう方がとても多い。けれど「もちもち食パン」と書かれても、人の心はあまり動きません。「へえ」で終わってしまいます。
そうではなく、たとえば「子どもが自分からおかわりする」。食が細い、好き嫌いが多い、そんなお子さんを持つ方は、「えっ、自分からおかわりするの?」と手が止まります。
マーケティングで大事なのは、心を動かすこと(心理変容)です。人は心が動かない限り、買うという行動を取りません。だから、いちばん大きな文字は商品名ではなく、お客様に起きる変化を書く。
② 目立つ色は、3色以内に収める
色は、正直むずかしいところです。ただ、非デザイナーが守れる目安ははっきりしています。おおむね3色以内。多くても5色まで。
「強い色」をいくつも使うと、どれも目立たなくなります。目立たせたいものが決まっているなら、強い色はそこに1つでいい。
③ 主役の画像は1つに絞る
見せたいものが複数あると、写真も複数入れたくなります。しかし主役が複数あるというのは、主役がいないのと同じことです。1枚に主役は1つ。
④ 大事なものほど、周りを空ける
いちばん皆さんがやりがちなのが、余白を埋めてしまうことです。空いているところに何かを置きたくなる。でもここは、勇気を持って空けてください。目立たせたいものを目立たせるために、余白があるのです。
これは文字入りの投稿だけの話ではありません。写真だけの投稿も同じです。「いい写真だね」と言われる写真には、必ず余白があります。何も写っていないところがあるから、人はそこに奥行きを感じ、「この先に何があるんだろう」と想像します。写真1枚を投稿するときも、余白を意識してみてください。
⑤ 次の行動(CTA)を、1つだけ置く
最後の1つが、次の行動です。専門的には CTA(Call to Action=呼び込み)と呼びます。
Instagramをビジネスで使っているのに、「見た人に次に何をしてほしいか」を書いていない投稿が、本当に多いのです。
- 場所を知ってほしい → 「プロフィール欄に地図があります」
- 予約が必要 → 「DMでお問い合わせください」
- 来店してほしい → 「ぜひ一度ご来店ください」
- また見てほしい → 「保存してね」「コメントしてね」
書いていなければ、次の行動は起きません。1投稿につき1つだけ、はっきり置きましょう。
なお、当日は参加者からこんな質問がありました。「写真10枚の投稿やリールの場合、CTAは最後のページだけでいいのか?」──答えはいいえです。読み手がどこで離脱するかは分かりません。ドカンと大きく載せる必要はありませんが、最初のほうから置いておくのがおすすめです。
デザイナーではない人の、Canvaの使い方
後半は、実際にCanvaの画面を映しながらのデモンストレーションでした。参加した方が「そんな作り方でいいんだ」と驚いたポイントを3つ紹介します。
1. ゼロから作らない。テンプレートを「タブで並べて」探す
いちばん心がけているのは、ゼロベースで作らないことです。手順はこうです。
- Canvaのテンプレート検索で、ラフに検索する(例:「Instagram パン屋」)
- 出てきたデザインを、5箇所のうち2〜3つを満たしているかという目で見ていく
- 良さそうなものは、Windowsは
Ctrl+クリック、Macは⌘(コマンド)+クリックで別タブに開いて溜めていく - 溜めたタブから、使えるパーツをコピーして、自分のデザインに貼り付ける
5つ全部を満たすテンプレートを探すのは大変です。2〜3つ満たしていれば十分。あとは自分で足せます。
実は、この日会場で配られたよろず支援拠点のパンフレットや生産性向上支援センターのチラシも、すべてこの方法でCanvaで作られたものです。IllustratorもPhotoshopも使っていません。
2. 変えるのは「色・画像・文字」。レイアウトは変えない
これが最大のコツかもしれません。良いと思ったテンプレートに対して、
- 変えていい:色、画像、文字の内容、ちょっとしたサイズ調整
- 変えない:レイアウト(配置)
「ロゴはこっちのほうが…」「これは少し右かな…」とレイアウトを動かし始めると、一気に素人っぽくなります。テンプレートのレイアウトは、収まりが良く、見る順番としても設計されている。そこは触らないほうが、結果的にきれいに仕上がります。
3. スマホではなく、パソコンで
Canvaのスマホアプリは操作性が大きく落ちます。パソコンでやらない限り、なかなか上手にはなりません。「高くて買えない」という方も、高価な機種は必要ありません。中古のパソコンでもCanvaを動かす分には十分で、実際に4〜5年使い続けている方もたくさんいらっしゃいます。
あなたの1枚を、紙の上で点検する──3つの質問

講座の後半は、参加者ご自身のInstagram投稿を1つ選び、Canvaを開かずに紙の上で点検するワークでした。手元でも同じことができますので、ぜひやってみてください。
Q1 いちばん、目立っていたものは?
良い・悪いは置いておきます。実際に、いちばん最初に目に飛び込んできたものを書いてください。
答:__________________________________________________
Q2 いちばん、伝えたいことは?
商品名ではなく、「相手に起きる変化」を1文で。
(例:「◯◯さっぱりラーメン」ではなく → 「夏バテでも食べられる、さっぱりラーメン」)
答:__________________________________________________
Q3 その2つ、一致していますか? ★いちばん大事なところ
Q1(目立っていた)と Q2(伝えたい)は、同じですか? それともズレていますか?
[ ◯ 一致している / △ 少しズレている / ✕ 全然ちがう ]
ズレていたなら、そこが直す場所です。 文字を大きくするのか、言葉を変えるのか、色を足すのか──5箇所に照らして考えてみてください。
これは、よろず支援拠点の相談窓口でInstagramのご相談を受けるとき、必ず最初にやっていることでもあります。「この投稿で、何を伝えたかったんですか?」と伺い、それが実際に伝わる形になっているかを一緒に見ていく。あとは、Instagramの「インサイト」(分析画面)で、伝わってほしい人に届いているかを確認する。この2つだけです。
参加者がいちばん難しいと感じたのは、Q2でした
当日、参加者同士でペアになって意見交換をしていただきました。そこで浮かび上がったのが、Q2(相手に起きる変化を1文で書く)がいちばん難しい、ということです。
「お得」「おいしい」なら書けます。でも「それを買った人に何が起きるのか」となると、途端に手が止まる。これは講師自身も難しいと感じるところで、10分や20分でパッと出るものではありません。何度も何度もチャレンジしていただきたい部分です。
まとめ
Instagramの投稿も、チラシも、名刺も、メニュー表も、考え方はまったく同じです。突き詰めれば、「何を目立たせるかを、自分で決めているかどうか」の一点に尽きます。
覚えて帰るのは、5箇所だけ。大きい文字/目立つ色/主役の画像/余白/次の行動。そして、いちばん大きい文字には、商品名ではなく「お客様に起きる変化」を置く。
最初から5つ全部を満たす必要はありません。テンプレートを探すときも、2〜3つ満たしていれば十分です。まずは自分の投稿を1つ選んで、Q1とQ2を書き出し、そのズレを1つだけ直してみてください。明日やることは、1つだけ。それがいちばん続くコツです。
一人で悩まず、ぜひご相談ください
「自分の投稿だと、どこを直せばいいのか一緒に見てほしい」「伝えたいことが言葉にならない」──そう感じたら、静岡県よろず支援拠点をご活用ください。
今回のセミナーでやった「持ってきた1枚を一緒に直す」は、まさに相談窓口でいつも行っていることです。経験豊富な専門コーディネーターが、何度でも無料であなたの経営相談に対応します。一人で抱え込まず、まずはお気軽にどうぞ。


